元・加賀藩剣術指南役、斑目久太郎。かつて「まだら鬼」と恐れられていた剣客は、貧乏浪人として長屋でひとり静かに暮らしている。ある日、呉服問屋の番頭・佐吉から主人を虜にしている白猫『玉之丞』の暗殺を依頼されるが、化け猫と聞いたその猫はたいへんに愛らしく、斬り殺すことができずに連れ帰ってしまう。斬り殺したと嘘をつき、玉之丞と暮らしはじめる久太郎だが、初めての猫との暮らしは案外に大変で…。