十九世紀中葉、三年半の年月を費やして世界の海を巡り、当時まったく未知の領域であった深海を探って、近代海洋学の礎を築いたイギリスの科学探検船、チャレンジャー号。この探検によって、海全体の様相が白日のもとにさらされ、地球の自然を知るという人類史的営みの上でも大きな意義をもたらした。本書は、大海原に乗り出した乗組員と自然との闘いを通し、彼らが情熱を注いで解明しようとした海とそこに棲む生物の世界を活写する。