一八世紀初頭のある日、パリの労働者街の猫がのこらず殺された、と記す印刷職人の手記は、何を物語るのか。史料の奥底に隠された大革命以前の人びとの心性に、わずかな手がかりをもとに犯人をつきとめる名探偵のような鮮やかな推理で迫る。社会史研究の先駆的達成と評価される原書から、中核的論文四本を抜粋して収録。著者自身による解説も兼ねた「第三版への序文」を付す。