老いを笑いに変えるエッセイ。待望の文庫化
皮膚科では「老人性」を連呼され、老眼鏡は片時も手離せなくなり、数々の言い間違いに物忘れ……。著者が「老い」を実感した出来事が、次から次へと、ときに毒舌を交えながら軽妙に綴られる。「アサガオ」と言っているつもりが「アジサイ」と言い続けて夫に指摘されたエピソードや、若いショップ店員に「ジーパン」と言っても通じず、「デニムですね」と言い換えられて衝撃を受けた話など、クスッと笑える話題が満載。その一方、体調の急変で倒れた話や、自身の乳ガン闘病記まで、考えさせられる話もぎっしり。乳がん闘病記では、告知から術後までの事象と心の動きが、時間軸を追いながら克明に綴られています。ひとつ間違えば重くなりがちなテーマながらときに笑いまで誘うのは、筆者の軽妙な筆致のなせる業。
「ああ、あるあるある」と共感したり、思わず声を出して笑ってしまったり、時にはホロッと泣けたり。
さらに、同じく著名な漫画家である夫君も頻繁に登場し、格好の題材に。共に歳を重ねたからこその絶妙な掛け合い、いつのまにか逆転した!?夫婦の力関係など、偽らざる夫婦関係も垣間見え、それがまた深い味わいに。
「老い」が愛おしくなる一冊です。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者と同年代、または年上の読者には「あるある!」が満載。これから「老い」を迎えることが心配な世代にも、必読の書です。うなずいたり、笑ったり、ほのぼのしたり……、読んでいるうちに、気持ちがどんどん元気になってきます。
同世代の漫画原作者・樹林ゆう子氏の「解説」と、著者の「文庫本あとがき」には、さらに歳を重ねた「今」の夫婦の姿も紹介され、「老い」ることがよりポジティブに感じられる一冊になりました。
老いること、歳をとることを憂いている友人や知人へのプレゼントにもおすすめです。