これは身体拘束をしている現場の人々を糾弾する本ではない。
なぜ縛るのかと問うことは、精神科病棟や認知症施設の外でも日々行われている、力や器具や言葉によるあらゆる形の拘束について考えることだ。
からだと思考、感覚や感情さえも縛られていると感じるこの国のすべての人に読んでほしい。
松嶋 健(文化人類学者・広島大学准教授)氏推薦
精神病院における身体拘束は、人権にかかわる重要な問題である。イタリアでは、1978年に世界で初めて精神病院の廃絶を定めた「法律180号」が制定された。イタリアで精神病院を解体していった経緯や、現在進行中の拘束廃止をめぐる運動、また、拷問のような「拘束」が頻繁に起こるメカニズムやその社会的背景について、運動の中心メンバーである著者が初めて日本へ向けて書下ろした。「拘束」問題を問う画期的な一冊である。