夫が威張る相手は私しかいない。そう思うと、ワガママで身勝手な夫を捨てるのも哀れに思えてくる。こういう、男を甘やかすホトケ心は実は危険なもので・・・・・・。(「ほとけの心は妻ごころ」)夫は中年にもなって美貌が自慢。ちょっとお多福顔の私と見比べては「美男と野獣」とご満悦。しかし私は気がついた、美貌とは見飽きるものだ。(「美男と野獣」)オロカな夫を見つめる妻たちの日常を、鋭い筆致とユーモアで描いた10篇。田辺聖子2ヶ月連続復刊・第2弾。解説・寺地はるな