人間は動物を殺し、大地を傷つけ、植物を刈り取り、果汁を搾り取ってきた。この加害者としての人間の罪の意識は、人類の初期から宗教的儀礼の根底を形成していたと考えられる。本書は、葡萄と小麦の文化圏である地中海の沿岸各地の主要な儀礼を訪ね、ディオニューソス、ヘーラクレース、エレウシースのデーメーテール、ナザレのイエスなどの神話を巡り、日々食べ飲む存在としての人間の罪と贖いの意識の始まりを探る試みである。