子供たちを救う命の水を取り戻せ――。医師である著者は、ネパールで出会った少女を養女に迎えたのをきっかけに、同国の子供たちが汚れた川の水を飲んで死んでいく実情を知る。森林乱伐で枯渇した泉の復活をめざして1990年から取り組む植林活動は、日本の小学生による牛乳パック回収資金提供を得ながら10年後にはで成果をおさめた。しかし、軌道に乗ったかに見えた活動は、ネパール内戦下で勢力を広げる毛派ゲリラの妨害を受けることになる。脅迫や植林地への地雷設置など生命の危機にも直面する中、現地の村人たちとの絆を深めながら乗り切っていく医師。内戦がおさまりかけたころに襲った巨大地震では、育てた森の木が住民を救うことになる。20年余で100万本の植林が実現するまでを描く。