死者数千万人といわれる世界史上最悪の内戦、太平天国の乱を平定した文人にして軍人。稀代の名文家でアジテーター、その一方で、小心翼々とした謹直居士。地味でマジメな山出しの秀才が、激動する一九世紀世界で果たした画期的な役割と、身の丈を超えた「英雄」像が転変するメカニズムを描き、中国史の論理を剔抉する。