なぜ人は人を害するのか――この問いが真の重要性を発揮するとき、探求は加害者という存在の一方的な解剖にはとどまらず、必然的に加害/被害という関係そのものの複雑な様相へと眼差しを向けることになる。またそれは、ともすれば加害(者)と同一視されがちな――しかし言うまでもなく単純にイコールで結ぶことの不可能な――「犯罪(者)」という概念の問い直しをも要請するだろう。本特集ではこれらの問題系を視野に多様な研究・実践の知見を踏まえつつ、加害者をめぐる諸問題に正面から向き合う試みである。