絵本『セロひきのゴーシュ』(福音館書店)などで知られる茂田井武は、天才と称されながら、短い活躍ののち48歳の若さで逝去。20代にシベリア鉄道で渡仏した茂田井は、パリの日本人会で働きながら独学で絵を描き、日々の生活を画帳に描き留めました。帰国後はさまざまな職に就いたのち、成人向けの雑誌「新青年」で挿絵を描き始めます。戦後約10年のあいだには子どもの本を中心に、膨大な仕事に取り組み、晩年は病床で絵を描き続けました。
本書には、代表作の絵本『セロひきのゴーシュ』をはじめ、パリで描かれた幻の画帳、絵物語、自身の子どもと描いた絵など、約200点を収録し、茂田井の全貌がわかる画集となっています。旅の画帳、流浪の詩、幼年の輝き、物語る絵など、時代やタッチの変遷を追って茂田井の魅力を紹介します。
茂田井のぬくもりのある筆致や詩情あふれるモチーフは、現在も多くのファンを魅了し続けています。
【寄稿】
奈良美智/おーなり由子/及川賢治(100%ORANGE)/片山健/ささめやゆき/荒井良二/柴田元幸
※本書は、2008年に株式会社講談社より刊行された『茂田井武美術館 記憶ノカケラ』の待望の復刻版になります。
カバー、表紙のイメージが刷新されています。