ふたつの物語が、やがてリンクする、という形をとっている本作。ひとつは、大阪に住む14歳の辰巳緑の視点を通して描かれる物語。おばあちゃん、お母さんの茜、いとこの藍ちゃん、藍ちゃんの愛娘・桃ちゃんで構成される家族のことや、学校のこと、気になるコジマケンのことなどがリズミカルな大阪弁で綴られていく。もうひとつは刑務所に入っている旦那との話を語る謎の女性棟田さんの物語。 ふたつの物語の共通テーマは「女の生きる道」。おばあちゃん、茜、藍ちゃん、桃ちゃん、棟田さん、そして緑の6人がそれぞれ抱える秘密や闇を紐ときながら、“女性”そのものの“性”と“生”をあぶり出してゆく、西氏渾身の勝負作です。