不可思議な読み味の中に底知れぬ不気味さを忍ばせる我妻は、学生時代に書いた恐怖小説に纏わる「人魂」、コンクリートの床に突然現れた落書き「死ななない」など44編の断片で恐怖を魅せる。徹底的な取材力と筆力で攻める黒木は、死に纏わる干支の言い伝え「十二支の家」、子供を事故で亡くした母親の怨念「梅雨に嗤う」、金にはなるが忌まわしいアルバイト「軍手」など渾身の32話。