「私は風だ」「私は闇だ」-。小説の視点は一ページごとに変わる。その千の視点によってつむぎ出される「まほろ町」と、少年・世一、そして一羽の鳥の千日の物語。いかなる微細なものも逃さぬ文体と重層的な描写は、まったく新しい小説の地平を切り開いた。