人間の始祖マヌの啓示にもとづいて作られたと伝えられるこの法典は、数千年の長きにわたり、最高の名声と至上の権威をもってインド民衆を支配した。さらにその影響は、遠くビルマ、シャム、ジャヴァ等の地にも及んだが、その神話、哲学、道徳、宗教に及ぶ広汎な叙述は、東洋的な物の考え方を知る上に、きわめて有力な示唆に富む。