原始哺乳類が陸上で多方向に適応進化していくなか、鯨類は敢然と海中への回帰を試み、体重大人2千人分のシロナガスクジラから10歳の子供ほどのコビトイルカまで、見事な適応を遂げた。再進化の過程でクジラ・イルカ類はどのような運動機能・生理的形質を獲得したのか。第二の霊長類といわれるイルカの知能はどれほどなのか。比較解剖学の視点から鯨類へのさまざまな疑問にこたえ、新しいクジラ観の確立とヒトとの共生を目指す。