「日本一うまい米」として評判のコシヒカリは、太平洋戦争末期から戦後の食糧難時代に作られた品種である。食糧増産が至上命題で食味など眼中になかった時代に、なぜ最高の食味の品種が生まれたのか。コシヒカリには多くの不思議がある。病気に弱く倒れやすい欠陥品種として、あわや廃棄処分という場面もしばしばあった。なぜこのような品種が史上空前の栽培面積を誇るようになったのか。奇跡的誕生から全国制覇に至る軌跡とは。