フランス革命期の「近代社会」の秩序原理の提唱、そこに内在する平等主義と事実的に存在する不平等との乖離をいかに乗り越え、「社会問題」認識の成立へと至ったか。さらに自由放任主義と社会主義の間に唱えられた支配層の諸思想を、政治経済学、社会経済学、社会的共和主義、連帯主義の四潮流に区分し、19世紀を通じたそれらの対抗関係を叙述することで、20世紀に成立するフランス福祉国家を準備した思想史的過程を包括的に解明しようとする意欲的な試み。