「外国に支配されようが、徳川の世の中に戻ろうが、飯さえ食えれば文句無い」。明治初年の民衆はこううそぶいた。そこには、近代社会への反発と、政治から切り離されたことによる客分意識が横たわっていたのである。だが、その人々が、やがて対外戦争に同調していったのはなぜか。政治文化の視点から、国民意識が創出される姿を描き、近代を問い直す。