デパートに出入りする人の中にも。バス停の群の中にも。表通りにも裏通りにも。本屋にも。どこにも、こどもなんかいなかったじゃないの。背負われた子も、抱かれた子も、ひとりで歩いている子も。だから、あたしはみんなに見られたんだ。いるはずのないこどもとして。…あたしは矢も楯もたまらず立ち上がった。やっぱり逃げなきゃ、と思った。とりあえず遠くに。待望の新作。