カンボジアの主要都市にはかつて瀟洒なコロニアル・スタイルの建築と土着の伝統家屋がまじりあって、独特の景観が存在していました。しかし、ポル・ポト時代の混乱で美しい町並みは荒廃し、現在はスラムと野放図な増築が目立ちます。 だが、スラムは排除すべきものなのか?むしろエネルギーあふれる発展の過程と見るほうが適切なのではないか…。2007~2012年にプノンペン、バッタンバンの都市建築を徹底的に調査した近畿大学のチームは、スラムの生活環境と人との関わりには学ぶべき点が多いという確信を得るに至りました。本書はその克明なフィールドノートをまとめた労作です。