隅田川から西に住むことがあるなんて、思ってもみなかった-。加奈は、そう言った。東京山の手育ちのが深川の地で初めて出会った彼女は、初恋の女性の面影を宿す生粋の下町娘だった。お互いにつよく惹かれあいながらも、彼女の周辺からはいくつもの謎がたちあらわれる。彼女はいったい何者なのか。二人を隔て、また結びつけもする隅田川の流れを背景に描く哀切な恋愛小説。