弘前高校時に懇ろとなった芸者と、上京後、同棲。実家の重圧にたえかねて、銀座の女給と心中、ひとり生き残る。やがて見合結婚。作家生活に励みながらも、「斜陽」の女と一児をもうける。そして39歳で心中。女を素材にして、揺れ動く自らの心裡を巧みに変改し、小説化していく天分の才筆。太宰の虚実を徹底的に解明する。