ノーベル平和賞受賞者でソ連反体制派の象徴とされるアンドレイ・サハロフ博士が国内流刑になってから6年半。-外部との接触を絶たれてゴーリキー市に住む博士夫妻の生活が今回、エレーナ・ボンネル夫人によりはじめて世界に公表された。85年末、夫人は心臓病の治療のため出国を許され、肉親の住む米国に滞在中この回想録を書き上げ、86年6月にまた博士の流刑先へ戻った。本書には、夫人の出国を求めて繰り返される博士のハンストと強制的な入院・給食、不断の監視体制とさまざまな圧迫、ひそかに行われた夫人の裁判、市民の反感と同情、逆境にめげぬ夫婦愛などが率直に語られている。