◆「自殺の少ない国」のセーフティネット◆
古いしきたりを否定し、高福祉と家族や性の「自由化」を謳う北欧型の社会モデルが、いまや福祉の高額な負担、高い自殺率など、矛盾に突き当たって立ち往生しています。一方イタリアは少子高齢化やパラサイトシングル現象など日本社会との共通点が多い一方で、先進国中、自殺率がもっとも低い国です。そこには、北欧型とは逆を行く?しがらみ?ともいえる濃密な地域コミュニティが、政策に頼ることのないセーフティネットとして機能しています。それはどのように形成され、維持されているのでしょうか。日本の、とくに都会ではいまや消滅してしまったかにみえる「地域」の力の再生を考える上でも、示唆に富んだ一冊です。好評を頂いた『違和感のイタリア』(2008年刊)の続編です。