フロイトと並んで無意識の世界に光を当てたユング。人間の身体的側面、特に性の問題を強調したフロイトに対し、ユングはその精神性に目を向け、元型や普遍的無意識、心理学的タイプや「自己」の概念、個性化の過程といった新たな理論を展開した。現代の精神医学に占める彼の比重はますます大きくなりつつある。本書は、ときには錬金術やオカルトの世界にも説き及ぶユングの独自な思想の体系を、客観的な観点から再評価し、その心理療法への寄与についても明らかにする。