ミレニアム(千年期)という言葉は、西洋キリスト教世界では単に年数を示すだけでなく、「世の終わり」に対する恐れと期待に満ちたを意味した。著者は本書において、キリスト誕生以来2000年の歴史の中で、西洋の人々が「世の終わり」への恐れや期待をいかにイメージし、社会に混乱が生じた場合に「世の終わり」についての予言や噂がいかにとびかったかを、歴史、宗教、思想、魔術や占星術などの様々な文献を駆使して語っている。そして、地球環境破壊や核問題、モラルの低下等、新たな千年期に人類が直面している今日的な「世の終わり」の幻影に過去との共通性を探り、これに冷静に対拠するよう捉している。