本書は「坐ったり腰かけたり」という起居様式から、大正、昭和、平成へと大きく変化してきた日本人の住生活史を描いた労作である。それは単に、畳と板張り、座ぶとん・こたつと椅子・テーブルの「和洋二重生活」から「和洋混合生活」への流れをたどるだけの作業ではない。衣食住の洋風化から再びユカでくつろぐといった回帰現象のうちに、日本人が求めつづけてきた身体的精神的モメントまでを探り出すにいたる。