ただ1人、四高時代の教え子の中にどうしようもなく破滅的に見える男がいた。退職した教授吉松は、卒業後20年も司法試験を受け続けてきた槙山の、壮絶な人生の謎を追っていく。病院長の息子で、無器用に人から非難され奇行の限りを尽しながら、なぜか人の心に大きなものを残した男の青春。柴田錬三郎賞受賞作。