地動説の撤回をめぐって教会とガリレイとの間に起った歴史的事件は「それでも地球は動く」という伝説的名句とともに誰もが記憶にとどめているに違いない。ブレヒト(1898‐1956)はガリレイの人物と時代を知悉してそれを戯曲化し、ガリレイの生き方を問うことによってナチ時代を生きた作者自身の、そうして我々の生き方をも問うている。