19世紀に万人にひらかれた公共性をもとめて近代市民社会が成立し、それまで生活のなかに歴然とあった公的領域が、個人や家族関係を軸とする私的領域にとってかわられた。そしていまや、政治、都市生活、メディア、消費、芸術にわたるあらゆる問題は、個人の心理の問題として測られるようになった。都市論、コミュニティ論、演劇論、記号論、精神分析、心理学、文学などの分野を自在にゆききしつつ、フランス革命から現代のスターシステムまでを歴史的に検証し、「公」と「私」のバランスを欠いた現代社会のメカニズムを鋭くえぐる刺激的研究。