二条院家は、昇殿を許された堂上家の身分ながら、俸給は年三十両ばかりの公家。その姫・桜子は京の町で買い物すらしたこともなく育った世間知らずだったが、家にはまったく金がなく、さらに年収四年分に当たる百二十両の借財があることを知る。しかもその内のやくざに借りた六十両について、返せない場合は自身が遊女になることを承知してしまう。金策に窮した桜子は「商人」になることを決意するのだが…。