デザインは、常に人間にとって役に立つものとしてその姿を現すが、その本当の狙いは人間をリ・デザインすることである。
作り手のみならず、「デザイン=便利なもの」と考えるすべての人におくる、建築理論家コンビによる越境的デザイン考!
本書は、先史時代(石器)から現代(ソーシャルメディア)に至るまでの、人間と人間が作り出した人工物(artifact)の関係性を照らし出すことで、現在の私たちが理解している「人間」と「デザイン」の意味に揺さぶりをかけます。
ダーウィンやプレストウィッチらによって発見された、生物学的・考古学的な「人間」。
その人間像や工業化に影響を受けた、実はポスト・ヒューマン思想への反応である近代デザイン。
こうして19世紀に見出されたデザインから、アメリカでつくられたグッド・デザイン、そして、20世紀を代表するデザイナーであるル・コルビュジエやチャールズ&レイ・イームズたちへ......
デザインの変遷をたどることで、よいデザインは「なめらかさ」という麻酔であること、そこには「欲望」や「亡霊」が隠されていることが暴露されていきます。
著者の歩みはそこで終わることなく、生命すらデザイン可能なバイオテクノロジー、携帯電話とソーシャルメディア......と、現在私たちが生きる「デザインの帝国」を問い直します。
第3回イスタンブール・デザイン・ビエンナーレのエッセンスを凝縮して新たに展開させた本書は、デザインという鏡に映る、私たち「人間」の姿を追い求めます。
その導き手となる問いこそが、”are we human?"(我々は 人間 なのか?)なのです。