一生の折目・節目を迎えるたびに、人は知恵と人間らしさを育んできた。区切りを彩る儀礼を通じて、ある社会のなかの一員となり、人として生かされてきた。出産の祈り、誕生の祝いにはじまり、社会的思春期を経て、齢とともに人生を表現しながら、儀礼を重ねる。そして「個」をかがやかせながら晩年を越え、やがて人生をまとめながら死にゆく。こんにちの日本人は、人生儀礼の体験に何を学び、如何に「生きること」と出会うのか。生をうけて、死に至るまでの様々な「通過儀礼」を通して、人間の暮らし、人生のドラマを捉え直し、現代人のアイデンティティーと生き方に迫る。