本書は「日本版判例リステートメント」とも言うべき特徴を有している。判例リステートメントというのは、テーマごとに参考となる判例を示して解説をほどこした文献を総称するもので、主としてアメリカで発達した。判例法理を特に重視するアメリカでは広く普及しているが、日本でも、経済状態の急速な変化や労使関係の変容により職場でのトラブルが激増している現状の中で、同様のツールは必須であると思われる。そこで本書では、全体を100の項目に分け、およそ考えられる個別労働紛争のうち、その解決にどうしても法的な観点が必要となるものを列挙して、参考判例を紹介し、司法の考え方をわかりやすく解説して、適正な解決の道筋を示すこととした。