怪談の大本命と言えば、百物語。怖い話を百重ねると本物の怪が降り立つという昔ながらの言い伝えに則り、本書も体験者・目撃者の実在するリアルな怪異だけを百詰め合わせた。「百話の怪談は短くも鋭い。有無を言わせず襲いくる怪異、思考を停止させてしまうほどのスピード感、そしてなまじの詮索をも拒絶するエニグマ感。それらは、鎌鼬の如く刹那の斬撃で手酷い疵を負わせていく、悔れないものばかりである」。そう、けして瞬きしてはいけないのだ。しかと眼を開き、この恐怖を網膜に焼きつけていただきたい。真の怪は、あなたが目を瞑る隙を狙っている。魂をとられぬよう、ご用心…。