その情熱とエネルギッシュな伝道活動で、イエス没後最初のプロテスタントといわれたパウロ-その実像を求めてフィールドワークの上にルナン自身の歴史観、人生観、人物批評のすべてを注ぎ込んだ本書は、19世紀のドイツとフランスの衝突の渦中で生まれ、今また21世紀グローバル時代の文化摩擦と文明の衝突の問題理解へも資するところ大であろう。名著『イエスの生涯』に続く意欲の訳業。