数奇とは風流を意味し、数奇心とは詩心を意味する。西行の遁世は、あふれてやまない詩心に殉じたものと断定する著者は、王朝の美意識の系譜をとらえ、その上に立つ西行観を中心に据えて、さらには芭蕉へとつらなる日本文化の伝統について言及した。