どうも、あらゆることが自分たちを助ける方向に向かってる気がしやがるぜ。これも九峪様の御利益かな。海人衆の頭・重然は、狗根国船団を待ち伏せしながら、九峪の強運ぶりに感嘆していた。九峪と星華、耶麻台共和国の要である二人の失踪が、この強襲の絶好の機会を生んだのだ。風雨も敵の視界を遮りつつも航行は可能な絶妙の強さだ。目の前の確かな勝利に勇み立つ九峪陣営。実は、当の九峪が感じていた風雨は、重苦しく耐え難いものだったのだが。一方、囚われの清瑞は、巨大な島が動く様に釘付けになる。それが、動くだけではないことなど思いもつかず-。古代和風ファンタジー、それぞれの思惑が交差する第二部第五弾。