薫子は、サンルームから太平洋に沈む夕日を見つめる。巨大な太陽が、風景の全てを赤く染め上げる。海も、船も、水鳥も。数瞬後、漆黒の闇が訪れた。「…逢魔が時の訪れ…」なぜか、薫子は不吉な思いにとらわれ、震えた。実践ミステリ倶楽部部長、有栖の誘いにより、伊豆半島の南彫刻の家と呼ばれる館のパーティーに出席する四人組。不幸を呼ぶ男夏比古のせいなのか、初夏の伊豆を舞台に起こる不可能犯罪。犯人の動機は、そしてトリックとは?ビールを飲むほどに推理が冴える村櫛天由美の出した結論は…。ヘッポコ本格ミステリー第二弾。