「どこに行っても忘れない。あなたの思い出を胸に生きていく」頭上を飛び交う矢。燃え上がる炎。そして少女は、握りしめた少年の手を離した-。異能の力を持つ故に"業多姫"と呼ばれる少女・鳴。如月のある日に最愛の母を殺され、それと同時に鳴自身にも迫る刺客の魔の手。追っ手から逃れながら母の死の謎を解こうと奔走する鳴は、颯音と名乗る不思議な存在感を漂わせた少年と出逢う。戦の行方を左右する業多姫の存在を巡り交錯する様々な思い。戦乱の世を舞台に描く、第二回ヤングミステリー大賞準入選作。惹かれ合う二つの魂が、歴史を、運命を変えていく-。