天上を見上げた遊馬は言葉を失った。巨大な金属製のトゲが鋭い刃を光らせ迫ってくる。「10分。10分で天上が落ちる」歪んだ笑いと共に告げられた言葉に、手足を拘束された遊馬の背に汗が伝った。豪華客船「しんげつ」に乗り込んだオカルト新聞記者・天瑞遊馬と聖麻衣子。そこで二人は、奇術師の娘である琉希と出会う。淋しげな横顔をした琉希に、奇妙な懐かしさを覚える遊馬。消えた豪華客船、碧海に浮かぶ朽ち果てた灯台。徐々に明かされていく謎の断片は、やがて衝撃の事実へと遊馬を導いていく。昭和30年を舞台に贈る冒険ミステリー、急転直下の第7弾。