「要らないモノを集めて、存在しない筈の何かを作りたいの」少女の穏やかで優しい声音が加奈子を包み込む。「七年に一度、生徒が神隠しに遭う」と噂される学園祭の日。静かに佇むガラクタ置き場は大量の鏡で覆い尽くされていた。ニセモノの世界、ホンモノの自分、ホンモノの世界、ニセモノの自分…。無限の像が交錯する"鏡の部屋"で、黒い羽を纏う少女は誘うように詠う。「役者は揃い、祭りの準備は整った。さあ、楽しく踊りましょう」次第に加奈子は鏡の迷宮へと引き摺り込まれていくのだった。世界の中心を巡る者たちの、不可思議なおとぎ話第三弾。