• Author桜庭一樹/著
  • Publisher富士見書房
  • ISBN9784829163528
  • Publish Date2006年0月

Gosick s 2(夏から遠ざかる列車)

少女は白いドレスを着て、緑の絨毯の上で待っていた。草いきれすらも、心地よい。会えるのだから。二人しか、ここには居ないのだから。そう、陶製の人形のような少女-ヴィクトリカは、今日も彼が来るのを待っている。少年・久城一弥が、かけてくるのを。芽吹いた緑たちが。噴水からこぼれおちる水の青が。そしてそれらを照らす陽の赤が。すべての色が輝きを増し、光に包まれ、命が生きようとする季節-夏。やがて訪れるであろう崩壊と、別離を前にした一瞬の平和-刹那。二人だけの学園にて、一弥とヴィクトリカは同じ時を生きる。世界を語る。謎を-混沌のむこうにある心を知る。そして、お互いを思う。ひと夏の間に重ねられる、淡い逢瀬の物語。ゴシック・ミステリー短編集。

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