一九〇六年(明治三九)、羽仁吉一・もと子夫妻は創刊四年目の「家庭之友」一月号巻頭に、夫妻の名に於て新年の志を述べています。その年「家庭之友」は「婦人之友」と改題。夫妻の熱い思いは二十年を経て一九二六年(大正十五)、世の識者、読者と共に語る座談の会となって初めて誌面を飾りました。以来一九五五年まで、時を刻んで三十年。家庭も社会も激しい変遷の時代に在って、その座談は二百有余に及びます。その中からこの度、三十篇を選び、上・下巻に分け、上巻には一九三六年迄の一二篇を収めました。