警視総監・台湾総督・東京市長などを歴任し、民政党結成にも尽力、貴族院議員・枢密顧問官としても活躍した伊沢は、配下に優秀な官僚を擁し「官界の大御所」とも言われた大正・昭和期の最も有力な官僚政治家。表舞台に立つことの少なかったことから伊沢についての研究はほとんど見られないが、書簡・日記・談話速記・意見書類・講演録などの未公開史料が研究会によって活字翻刻。政党史・軍事史に比べ立ち遅れていた官僚・行政の歴史的研究を大きく進展させる史料として注目されている。