八十八歳の映画監督の夜にしのびよるすさまじい孤独、ひとときの救いは一冊の本だ。新しい本には秘密の扉を開くときめきがある。古い本もまたいい。そのときどきの自分の生きた時代に出会える。そのむかし、心を揺り動かしたものが、いまどんな姿をしているだろうか、別れた恋人に出会うような気持ちである。スーパー独居老人の読書三昧。