十一世紀のヨーロッパに「都市の空気は自由にする」という合言葉が生まれた。荘園領主の専横に苦しむ農民たちの、華やかな商工業活動による経済的自由への希求が、新たな都市文化を築き上げたのである。近代資本主義社会を生み出す市民意識形成の場となった自由都市成立の契機を、日本の封建社会との比較文化的視角を交えて縦横に分析する。史上に比類なき自由都市の興亡を鮮明に描いた必読の都市論。