世界恐慌下、一九三〇年の金解禁=金本位制への復帰によって日本は未曾有の経済危機に陥った。時の蔵相井上準之助や高橋是清の財政金融思想と、経済政策の選択をめぐる左右のイデオロギーの相剋を描き、日本がやがてファシズムへと転落しゆく過程を詳細に追究した本書は、出口なき不況の現在を考えるための示唆に富む。