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  • 著者小牟田哲彦
  • 出版社講談社
  • ISBN9784062881524
  • 発行2012年4月

鉄道と国家 / 「我田引鉄」の近現代史

明治期の敷設以来、鉄道は日本近現代の政治、社会を映す鑑として、その変遷を見ることが可能である。ときに「我田引鉄」とも揶揄されるように、政治家が自らの選挙区に利益を誘導するがごとく鉄道を誘致する事例が明治、大正、昭和と途絶えることはなかったのだ。現代にも残る鉄道にまつわるエピソードを追いながら、日本の近現代史の様相をたどる。
すべての路線は政治的につくられる!
原敬、佐藤栄作、田中角栄、大野伴睦、大物政治家たちが“介入”してきた「鉄道史」
時代とともに変わる公共インフラとしての鉄道と政治の距離感
それは、鉄道という社会資本に対する政府の姿勢の変動の表れでもある。昭和末期に国鉄が民営化され、明治以来ずっと一体的な関係にあった政府と鉄道は国内では距離を置きつつあった。だが、新幹線の海外輸出という新たな場面で官民一体が必須となるに至り、鉄道は政治の世界と再び接近。そんな時期に起こった東日本大震災をきっかけに、国内でも復興支援という名目で政府による鉄道への公的関与度を高めようとする動きが官民両サイドから起こっている。「鉄道は国民自らが共に築き上げた共有財産である」という意識が、JR化後も脈々と日本国民の間に静かに生き続けていたことの証と言える。――本文より

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